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誤記のお詫び
どこにいても、木々の緑が目に入ってくる。ちょっぴり甘く爽やかな香りが、鼻を心地よくくすぐって。「吉野山は昔から、聖地なんです。ここから熊野まで修行者の方々はずっと歩いていくんですよ」とガイドの富田良一さんは、ちょっぴり誇らしげに言う。
桜の名所として、吉野の名前は日本全国で知られている。「桜の季節になると、車も人もすごく混雑しますよ。ありがたいことなんですけど、中にはゴミを置いていったりする人もいますからねえ」。そんな言葉を聞いて、モデルのKIKIさんの顔もちょっぴり曇る。ゴミを持ち帰ろうなんて、本来は声高に言うべきことではないのかもしれない。「だから地元ボランティアでゴミ拾いをしたりしてますね」なんて話を聞いて、なおさらそう思う。
富田さんは地元吉野の出身ではない。吉野が好きで何度も通っているうちに、ここに居を構えることを決意したという。「だから僕は客観的に吉野を見られる部分があるかもしれませんね。桜だけではない吉野を知ってもらいたいと思っています」。ボランティアガイドを始めたきっかけについて聞くと、そんな答えが返ってきた。
一方、この地で名物の柿の葉寿司を製造・販売している「ひょうたろう」のご主人は言う。「地元の人間が地元を知ることって、大事だと思うんです。地元にいると当たり前だと思ってしまっていることが多いですから。そしてその地元の良さを子供たちに伝えていかなきゃいけない。その点、改めて外から来る方に教えられることは多いですよ」。
吉野は多くの人が訪れる観光地だ。地元の人が温かく旅人を受け入れ、そして旅人が気持ちよくこの地を後にするには、大切なものがある。お互いを敬い、お互いの気持ちを考えること。それは目に見えないものだけれど、大切な旅の持ち物かもしれない――吉野の緑に包まれながら、そんなことを思った。
文・松岡絵里 撮影・トビタテルミ
世界遺産 紀伊山地の霊場と参詣道
吉野山を含む紀伊半島に根付く「霊場」「参詣道」を中心とした文化遺産。険しい山々を抱くこの地は、古くから神々が宿る地として知られていた。後に山岳修行の拠点となり、修験道を中心とする吉野、神仏習合の熊野、密教の高野山と3つの霊場が生まれる。その間をつなぐ参詣道は自然と信仰心が融合した世界にも類を見ない地として2004年に世界遺産に登録された。有名な吉野山の桜は、修行した人々がご神木として1本1本植えたものだという。
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